とげ男の毎日

トゲオアガマ好きの爬虫類日記です。

カテゴリ: サソリ

カニバリズム cannibalismとは、第一義は「食人俗」のことです。
そして、第二義は「共喰い」のことです。

サソリたちの中には、
「共喰いを積極的にする種」、
「共喰いをすることもしないこともある種」
「共喰いをしない種」
があります。

私の飼っている(た)サソリたちのうち、
デザートヘアリースコーピオン:「共喰いを積極的にする種」
イスラエルゴールデンスコーピオン:「共喰いをすることもしないこともある種」
エンペラースコーピオン:「共喰いをしない種」
でした。

参考文献:

(この本の中に、「cannibalism:共喰い」という言葉が出てきます。)

なぜ、遺伝子レベルで共喰いするか否かが規定されていったかの過程は
本には書かれていませんでしたが、想像すると興味深いものがあります。
共喰いを積極的に行う種を取り巻く環境においては、同種に出会った場合、
交尾のパートナーを得るより共喰いして生き延びる方が子孫を残しやすかったのでしょう。
逆に、共喰いをしない種においては、
共喰いせずに交尾のパートナーを得た方が子孫を残しやすかったのでしょう。
その環境の違いとは、餌の量だったかもしれませんし、
乾季・雨季の有無だったかもしれませんし、あるいは全く他の要因だったかもしれません。

4億年以上前から存在したとされるサソリですが、
彼らは地球上の気候の厳しい地域において生き延びるために様々な進化を遂げてきたのです。
共喰いをせず寄り添うようにして生きているエンペラースコーピオンたち、
そして逆に生涯孤独に、時に25年生きるデザートヘアリースコーピオンを見ながら、日々感慨に耽ります。

餌を懸命に食べるエンペラースコーピオン
餌を食べるエンペラースコーピオン

無論、生き物を飼育する上でその個体を大切にし、
成長を喜ぶのは当然のことといえます。
が、その先もしその大切な個体の子の顔が見られるとしたら、
それは親が孫の顔を見るが如くうれしいことのはずです。
私も、いつかはトゲオアガマの繁殖をしたい・・・!と考えています。
もちろん、個体あっての繁殖ですからそもそも親個体をきちんと生育できることが前提となりますが。

ポヤーン
IMG_0852


ここで、しばしば登場する本になかなか興味深いことが書いてあったので
述べさせていただきたいと思います。 


それは、トゲオアガマの繁殖をする上で、オスメス分けて飼育しておいて
いざ一緒にする時に、どちらのケージに入れるか?という問題です。
答えは、メスのケージにオスを入れる、なのですが、
その理由が興味深かったです。
オスは、新しい環境では自分のテリトリーを守らなくてはいけないという感覚が弱まり、
メスに対して攻撃的な態度を取りにくくなるということなのです。

私は以前サソリの繁殖を試みたことがあったのですが、
その時にも「メスのケージにオスを入れよう」と本にあり、
その理由をなぜだろうと思っていました。
恐らく同じことなのでしょう。
ちなみに、サソリは種類によりますが基本的に同種同士でも容赦なく殺し合う可能性があるので、
繁殖の際にも非常に気を遣います。

基本的にはメスの方が体格は大きくハサミは小さめ、
オスの方が体格はスリムにハサミは大き目にできています。
これは、オスのハサミがメスのハサミを押さえながら交尾に至るときに
有利に働かせるためのようです。
オスとメスの交尾は以下のような流れで行われ、「サソリのダンス」と呼ばれます。



最初の方に体を震わせているのがオスです。
これは、メスのフェロモンを感じ取ったオスが
「敵ではありません、餌でもありません、交尾しましょう」
とシグナルを送っているのです。
時にメスがこれに応えて振動することもあります。
彼らは数十メートル先の振動を感知できるほどに振動覚が非常に発達しており、
足で振動を感じるとどこの方向から来たかなどを的確にサーチすることが出来ます。

メスが受け入れると、ダンスが始まります。
基本的にはオスが動きのリーダーシップを取ります。
ダンスそのものの動きは以下の動画がわかりやすいと思います。



動いている間、オスは腹部についている、ペクチンと呼ばれるハケのような器官を使って
地面を撫でまわしています。
これは、 精莢(せいきょう)と呼ばれる精子の袋をやり取りするのに適した場所かどうかを
触覚で見極めているのです。
適した場所に来ると、腹部の生殖孔から精莢を放出してメスの生殖孔がその上に来るように移動させ、
メスの体を揺らします。
すると、精莢から精子が生殖孔を経てメスの体内へと入っていき、
受精すれば無事完了です。
このダンスで25mほど移動したりすることもあります。

オスは交尾が終わると食われないうちにそそくさといなくなりますが、
間に合わず種によっては食われてしまうこともままあります。
カマキリもそうですが、自然界においてしばしば
交尾後のオスは自分の子孫のための栄養と化します。

メスは数週間から数か月の妊娠期間を経て、出産します。
卵の形式ではなく、新生児の形で産むのです。 

初めてサソリの交尾を目の当たりにしたときには
生死を懸けたその美しい繁殖行動にとても感動しました。 

以下、スマホでの撮影です。

交尾中
NCM_0191


残った精莢(真ん中の白い紐のようなものです)
NCM_0196


子どもたちに幸あれ 
NCM_0192
 

バポナを吊るして数日・・・
アンボンアオジタトカゲのケージに敷いてあるペットシーツ上に動いているダニもいなくなりました。
が、ケージのある部屋の隣室に置いてあったサソリが今日大量死していました。
コオロギやゴキブリは死ぬかもしれないが、サソリくらい頑丈そうな生き物だったら
同じ節足動物であっても大丈夫とたかをくくっていました。
全長20cm程度のダイオウサソリ3匹と3cm程度のイスラエルコガネサソリ1匹が死んでいました。
コオロギは離れた別室でしたが、サソリは隣室に置いたままにしていたのです。
ダイオウサソリの中には出産が楽しみな妊娠中の個体もいました。
出産間際になってくると腹部が大きく膨れ上がってきます。
サソリの中には「出産」する種がいて、ダイオウサソリもそういった種です。
以前、家で出産したサソリの写真をご紹介しておきます。
カメラで動画撮影したものをさらに撮影しているのでやや見づらいですが、まごうかたなき親仔サソリです。

ダイオウサソリ

こんな感じで、出産した仔サソリは1週間くらい母親の庇護下で暮らします。
1週間後には母親の背中から降りて自分で餌を探し始めます。
この時は18匹産まれて、湿度の問題や脱皮の問題、摂餌の問題など種々のトラブルを乗り越えて現在生き残りは3匹です。
その後も、妊娠個体が出産時なぜか出産できずにそのまま命を落とした事例などもありました。
今回は明らかに人災です。
一回バポナを撤去して、ダニとサソリの様子を見ることにします。

このページのトップヘ